制作現場にお邪魔・AIC編

作画監督(寺沢氏)により原画が仕上げられているところです

 アニメーターにとって、一番つらいのが『リテイク』。つまり、やり直し、書き直しのことです。
 当然、『親鸞聖人』のアニメでも、さすが仏教を扱う内容だけあって、リテイクは度々あったようです。たとえば、第1部で、法然上人がご説法をするシーン。聴衆は坊主しかいなかった、というのが最初作られたものだったそうです。それはリテイクされて、一般 の人が聴衆となりました。
 さてさて、このリテイクにまつわる話で大きなものが、第3部の「鈴虫転倒」のシーンです。第3部の冒頭、鈴虫が裾を踏まれて転倒するシーンがあります。ここは転び方がおかしく、相当リテイクがありました。その重なるリテイクに、原画マンは相当疲れたようで、最後は倒れて寝込んでしまったそうです。
 そもそも、原画担当は、キャラクター毎に決められることが多く、倒れた原画マンも、松虫鈴虫担当の人でした。
 そういえば、第3部の中で、松虫鈴虫の顔が、2カットほどいきなり幼くなりますが、倒れた原画マンのピンチヒッターによるものかもしれませんね。

セル画の彩色中です。実に多くの色が使われますな。

 「編集」とは何でしょう。
 アニメはカット毎にフィルムで撮影されます。それを絵コンテ通りに切って繋げてゆく作業を「編集」といいます。1秒間24コマのフィルムを切り貼りするのは大変な作業で、数コマの差が、見栄えを左右します。ま、最近はデジタル処理がなされ、編集までもパソコンでしてしまう時代ですが……。
「世界の光・親鸞聖人」シリーズでは、神谷編集室が編集を担当しています。しかし「王舎城の悲劇」だけは、瀬山編集室が担当しています。
 この瀬山編集室を率いる瀬山武司という方がすごい方で、『天空の城ラピュタ』以降のすべてのジブリ作品の編集を手掛けている方です。なんでも、宮崎駿氏、高畑勲氏とのつきあいは、両氏が日本アニメーションに在籍していた時代からだそうですので、相当なものです。
 もちろん、オスカー受賞の『千と千尋』の編集も手掛けておられます。それを知りつつ『王舎城の悲劇』を見ると、またまた感慨深いものではありませんか。

「制作現場にお邪魔」は、次回に続く・・・

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